生活ルールについて:自由度と制限を確認する
日本のシェアハウスは、欧米のフラットシェアに比べてルールが細かく設定されている傾向があります。これは文化的な「調和」を重んじるためですが、ライフスタイルが合わないと強いストレスになります。
友人の宿泊・立ち入り制限
最もトラブルになりやすいのが、友人や恋人の物件内に立ち入りできるか否かというルールです。
まるで大学の寮かと思うかのような規則ですが、日本の多くのシェアハウスでは個室であっても友人や恋人が泊まるのを禁止している所がほとんどです。
多くの物件では「リビングへの立ち入りは22時まで」「宿泊は事前申請制」といったルールがあります。宿泊が可能な場合、1泊あたり ¥1,500 ($10) 〜 ¥3,000 ($20) 程度の追加費用が発生するのが一般的です。恋人や友人を頻繁に呼びたい方は、この費用を考慮しないと、後から毎月の支払いが跳ね上がることになります。
これらの制限事項に関してきちんと入居前に確認しましょう。
不便ではありますが。これにはセキュリティの面と費用の面で納得のいく理由があるため、ある程度は理解できます。
セキュリティ的には見知らぬ他人が入らないのがもちろんメリットです。費用の点でいくと、日本のシェアハウスは光熱費が一定額で固定されているため、友人や恋人の滞在が長引いた場合のエアコン代などの電気代やシャワーなどのガス代などを運営会社側が全額負担しないといけないためです。
日本でシェアハウス生活をする上ではほぼ間違いなく絶対に守らないといけないルールですので、このルールが嫌なら普通に賃貸を借りましょう。
音楽演奏や騒音の規定
楽器演奏は基本的にNGの物件が多いですが、電子ピアノやアコースティックギターでも「音を出す時間帯」に制限があるかどうかを確認しましょう。
もしあなたが楽器を演奏せず、夜間の静寂を好むタイプなのであれば、楽器演奏可能な物件は避けてください。そのような物件には音楽を愛する人々が集まるため、あなたに静寂は訪れないでしょう。
また、深夜の洗濯機やドライヤーの使用制限(例:24時以降禁止など)は、夜型の方にとっては死活問題です。
外国人にとっては「そんな事をルールで決めるの!?」と思うようなルールもあるのが日本ですので、必ず確認しましょう。
喫煙ルールの詳細
最近の日本のシェアハウスは「完全禁煙」が主流です。
「部屋の中ならOK」「ベランダならOK」と思っていても、実際には部屋の汚れや近隣クレーム防止のために禁止されていることが多いです。喫煙者の方は、そもそも喫煙所が物件にあるのかどうか。そしてある場合は、喫煙所が物件内にあるか、それとも敷地外まで出る必要があるかを確認してください。
ゴミ出しの管理と「言語対応」
日本のゴミ分別は世界一複雑と言っても過言ではありません。誰がゴミを野外のごみ収集所まで出すのか(清掃業者か、入居者当番制か)は必ず確認しましょう。ゴミ捨て場に英語、中国語、韓国語などの多言語マニュアルが掲示されているかどうかも、外国人入居者が多い物件では非常に重要な指標になります。ここが荒れている物件は、夏場に害虫(ゴキブリ等)が発生するリスクが非常に高いです。
清掃に関する規定
上記のゴミ出しに関することでもあるのですが、共用部の掃除を誰がするのかどうかは必ず確認しましょう。
大手の管理会社が運営する中規模〜大規模の物件では清掃業者が清掃を行う場合がほとんどですが、入居者が10人以下の小型物件であれば清掃は自己管理、つまり入居者同士で持ち回りで行うこともあります。
個人的にはそのような物件はきちんと掃除をするしないのトラブルのもとになりがちですので、避けるのがおすすめです。
設備について:毎日の利便性をハード面からチェック
写真では綺麗に見えても、実物は劣化していたり、使い勝手が悪かったりすることが多々あります。「五感」を使って確認しましょう。
水回りの「匂い」と「カビ」
内見の際は、必ずシャワー室とキッチンの排水口をチェックしてください。下水のような匂いが戻ってきている物件は論外ですが、排水口にゴミが貯まっていたり、排水口から異臭がする場合は掃除が定期的に行われていない証拠になります。
また、洗面台の下やキッチンの収納扉をすべて開けて、カビ臭くないか確認しましょう。湿気がこもりやすい日本の古い住宅では、カビが原因で衣類や靴がダメになるトラブルが絶えません。
壁の防音性能を「ノック」で確かめる
「個室」と書かれていても、壁が薄ければプライバシーはゼロです。
日本の部屋では壁に石膏ボードというボードを張り、その上に壁紙を貼り付けてある場合がほとんどです。
隣の部屋との壁を軽く叩いてみて、中が詰まっている音がするか、それとも石膏ボード一枚のような「コンコン」という軽い音がするかを確認してください。
軽い音がしなければ100点ですが、ただ、日本のシェアハウス物件では躯体の壁、つまりコンクリートで部屋を分けてある物件はあまりないのでここはある程度の妥協が必要です。
また、ドアにも注目してみましょう。
日本のシェアハウスでは、もともと巨大だった部屋を分割して部屋としているところも多いです。そのような場合はドアが外用扉ではなく、軽い木製の室内用ドアの場合が多く、音漏れがしやすい場合があります。特にそのような場合で、下に大きな隙間があるドアでは、音漏れが激しいので注意が必要です。
個室のスペックと「広さ」の正体
日本の「畳(じょう)」という単位は分かりにくいですが、内見では「実際の動線」を見ます。スーツケースが収まる収納の奥行きがあるか、コンセントの位置がベッドの枕元やデスク付近にあるかを確認してください。また、備え付けの家具が不要な場合、撤去費用として ¥3,000 ($20) 〜 ¥5,000 ($33) 程度請求される物件もあるので、事前に確認が必要です。
水回りの数と「洗濯機」の仕様
入居人数に対して、シャワー・トイレ・洗濯機の数が足りているかを確認します。目安は5〜8人に1台です。特に注意すべきは「洗濯機の課金制」です。
コインランドリーのようにコインを入れて動かすものが多く、1回 ¥100 ($1) 〜 ¥200 ($1) かかる有料タイプの場合、月間の支出が数千円増えることになります。
ただこのコインランドリー式は特に大型の物件では一般的ですので、良い物件なのであれば妥協しましょう。
Wi-Fiとエアコンのコンディション
内見中に必ず自分のスマホをWi-Fiに繋がせてもらい、スピードテストを実施しましょう。動画が止まるような速度では、テレワークや娯楽は不可能です。
また、エアコンが比較的新しいものかどうかを確認してください。多くはないですが、電気代が固定制ではなく個別メーター制の物件もあります。そのような物件では夏場に電気代だけで ¥5,000 ($33) 〜 ¥10,000 ($65) 程度かかることもあるため、熱効率の良い新し目のエアコンかどうかは必ず確認しましょう。
防犯セキュリティと郵便・宅配
鍵がスマートロックか、物理キーかを確認します。物理キーを紛失した場合の交換費用は ¥20,000 ($130) 以上することが珍しくありません。また、Amazonなどの荷物を頻繁に受け取る方は、宅配ボックスの有無と、それが満杯で放置されていないかをチェックしてください。
住人について:コミュニティの雰囲気と相性
「誰と住むか」は、シェアハウス生活において最も重要な要素です。
可能であれば、内見の際に住民とコミュニケーションを取り、住心地を聞いてみてください。
直接住人に会えなくても、残された痕跡から実態を予測できます。
玄関の「靴」で住人の生活をプロファイリング
もし小さめの一戸建てやマンション型の物件であれば、日本式の玄関で靴を脱ぐスタイルの物件の場合もあります。
その時は玄関にある靴の種類を見てください。革靴やパンプスが多いなら規則正しい生活の社会人が多く、派手なスニーカーやサンダルが多いなら学生やフリーランスが多い傾向にあります。また、玄関に出していい靴の数(例:1人2足まで)が守られていない物件は、他の共同生活ルールも形骸化している可能性が高いです。
リビングの「私物放置」に現れる住人の民度
キッチンのシンクに汚れた皿が放置されていたり、リビングのテーブルに個人の荷物が置きっぱなしになっていたりしないか。これが常態化している物件は、管理会社が機能していないか、住人のマナー意識が低い証拠です。
コミュニティの「温度感」をスタッフに聞く
「リビングに人が集まるのは何時頃ですか?」「定期的なパーティーはありますか?」と聞いてみてください。交流を求めているのに、誰もリビングに来ない物件を選んでしまうと孤独を感じることになります。逆に、静かに暮らしたいのに毎晩パーティーが開かれる家も地獄です。自分の希望をはっきりと伝え、相性を確認しましょう。
掲示板の「警告文」の質
掲示板は物件内の「治安」を表す鏡です。「騒音禁止」「キッチン使用後の清掃徹底」などの張り紙が多い物件は、トラブルが頻発している可能性があります。また、半年前の古い張り紙が放置されているなら、管理会社が物件を定期的に巡回していないサインです。
周辺環境と退去について:物件の外側も忘れずに
家の中が完璧でも、外にストレスがあれば長く住むことはできません。
夜道の安全性と利便性
最寄り駅から物件まで実際に歩いてみて、街灯があるか、夜間に一人で歩いても怖くないかを確認してください。また、徒歩圏内に24時間営業のコンビニや、食材が安く買えるスーパーがあるかどうかも、日本での節約生活には欠かせません。
日本では一人で気軽に外食を楽しめる店が多いので、そのような店が多ければ多いほど、あなたの日本生活は快適なものとなります。
退去時の精算ルール(重要)
契約前に必ず確認すべきなのが、退去時のクリーニング代です。多くの物件では ¥20,000 ($130) 〜 ¥40,000 ($261) 程度が保証金(Deposit)から差し引かれるか、別途請求されます。この金額の妥当性と、返金される条件(退去の何ヶ月前に申請が必要かなど)を明確に記録しておきましょう。
まとめ:納得のいく決断を
内見が終わったら、その場で即決せずに一度カフェに入ってこのリストを読み返してください。少しでも「嫌な匂いがした」「管理スタッフの対応が曖昧だった」という違和感があれば、他の物件も見る勇気を持ちましょう。日本での素晴らしい新生活は、納得のいく「住まい」選びから始まります。

