多くの外国人は、家賃を払って「交流」を買ったつもりでいます。しかし、現実の日本のシェアハウスは、必ずしも毎日パーティーが開かれているわけではありません。
第1章:究極の裏技「コネクション」を利用する
まず最初に、もしあなたにこの条件が当てはまるなら、この記事の残りを読む必要がないかもしれない「最強の近道」をお伝えします。
1-1. 「すでに友達が住んでいるハウス」に入居する
シェアハウス生活において、最もイージーモードでスタートする方法。それは、「すでに友達、あるいは知り合いが住んでいるシェアハウスの空き部屋に入ること」です。
なぜこれが最強なのか?
日本の文化には「ウチ(内)」と「ソト(外)」という概念が根強く残っています。全くの赤の他人(ソト)がコミュニティに入っていくには、高い壁を乗り越える必要があります。しかし、「メンバーの友人」という紹介状があるだけで、あなたはいきなり「ウチ」に近い存在として扱われます。
もし友達が日本人ではなくても、友人がそのシェアハウスのコミュニティで日本人の友達との交友関係をすでに築いているのであれば、最高の近道はそこを紹介してもらうことです。
1-2. 「信頼の転送(Trust Transfer)」が起きる
日本人は「信頼」を非常に重視します。
「この人は、〇〇さんの友達だから、きっと良い人に違いない」
この心理効果をマーケティング用語で「信頼の転送」と呼びますが、これがシェアハウスでは強烈に機能します。
友人があなたを紹介してくれることで、あなたは自分で一から自己紹介行脚をする必要がなくなります。友人が「この子は僕の友達で、日本語を勉強しているんだよ」と一言添えてくれるだけで、周りの住人のガードは一気に下がります。
1-3. 知り合いがいない場合の対処法
「そんな日本人の友達なんていないよ!」という方が大半でしょう。
その場合は、SNS(InstagramやFacebook)で繋がっている「浅い知り合い」でも構いません。ターゲットを探しましょう。
アクションプラン:
「久しぶり!インスタ見てるよ。楽しそうなシェアハウスだね。もし空き部屋が出たら教えてくれない?(Long time no see! Your share house looks fun. Let me know if a room opens up?)」
こうメッセージを送るだけです。多くのシェアハウスには「紹介割引(Referral Discount)」があり、紹介した側にも家賃割引などのメリットがある場合が多いです。Win-Winの関係になれるため、遠慮する必要はありません。
第2章:物件選びのパラドックス(日本人が多い物件が良いわけではない)
コネクションがない場合、自力で物件を探すことになります。
ここで9割の外国人が陥る大きな罠があります。
「日本人の友達が欲しいから、入居者の90%以上が日本人の物件を選ぼう!」
これです。これをやってしまうと、あなたは孤独なシェアハウス生活を送ることになる可能性が高いです。なぜでしょうか。
2-1. 日本人入居者の「属性」を見極める
シェアハウスに住む日本人は、大きく分けて2つのタイプが存在します。この違いを理解することが、物件選びの全てです。
タイプA:国際交流・異文化体験を求めている層
- 主な生息地: 日本人比率が50%以下の「国際交流型シェアハウス」
- 特徴: 彼ら英語を話したい、海外の文化に触れたいという明確な動機を持っています。多少言葉が通じなくても、コミュニケーションを取ろうとする姿勢があります。
- あなたへの態度: 心のなかではウェルカムで仲良くなりたいと思っているけど、きっかけを待っている。
タイプB:家賃の安さ・立地・静寂を求めている層
- 主な生息地: 日本人比率90%以上の物件、または格安の小規模物件
- 特徴: 彼らは「日本人同士の友達が欲しいから」「ただ安いから」「敷金礼金がないから」という理由で住んでいます。彼らは家に帰ったら静かに休みたいと思っており、知らない外国人との交流は求めていない場合も多いです。また彼らは英語も話せない、あるいは話す気がないケースが多いです。
- あなたへの態度: 無関心、あるいは場合によっては「生活リズムを乱す異分子」として警戒されることも。
2-2. 狙い目は「外国人比率が高い物件」に住む日本人
逆説的ですが、日本人の友達を作るための正解は、「ある程度、外国人が多い物件を選ぶこと」なのです。
想像してみてください。外国人がたくさん住んでいる物件にあえて入居してくる日本人です。彼らは間違いなく、「外国人の友達を作りたい」という下心(良い意味でのモチベーション)を持っています。
彼らは、あなたのカタコトの日本語を辛抱強く聞いてくれますし、あなたに日本のことを教えたがっています。
重要: 物件探しの際は、必ずこう聞いてください。
「外国人比率はどれくらいですか?」
外国人比率はリアルタイムで変わるもので、サイトに載っていないケースがほとんどです。
いちいち問い合わせし回答を待たないといけないのは面倒なので、サイトにデータを記載している業者から選ぶのがおすすめです。

画像は私も住んでたことがあるオークハウスという業者のとある物件です。
物件ごとに男女比、年齢、国籍でのデータをリアルタイム公開しており、大手なので物件の数も多いのでも、一度チェックするのがおすすめです。
オークハウス以外の物件を選ぶときも、日本人の比率は必ず入居前にチェックしましょう!
第3章:入居後の「ブリッジ戦略」と同国人の活用法
無事に「国際交流に積極的な日本人がいる物件」に入居できたとしましょう。
しかし、焦りは禁物です。いきなり日本人のグループに特攻するのは、レベル1でボスに挑むようなものです。
3-1. まずは「同国人」または「英語が話せる外国人」を味方につける
まずは、あなたと同じ言語を話す、あるいは英語が流暢な「先輩外国人住人」と仲良くなりましょう。
彼らはすでにハウスの人間関係を把握しており、日本人のグループとも繋がりを持っています。
3-2. 「紹介」の連鎖を利用する
先輩外国人と仲良くなったら、こう頼んでみましょう。
「日本人とも仲良くなりたいんだけど、誰か話しやすい人はいる?(I want to make Japanese friends, who is easy to talk to?)」
そして、その先輩と一緒にリビングに行き、その日本人に紹介してもらうのです。
日本人はシャイですが、「知っている外国人の友達」に対しては非常にオープンです。この「ブリッジ(架け橋)」を利用することで、あなたは安全かつスムーズに日本人の輪に入ることができます。
第4章:リビング、キッチン、喫煙所を制する者がシェアハウスを制す
シェアハウスで日本人の友達を作るために必要なのは、「面白いジョーク」ではありません。「物理的な接触時間(接触回数)」です。
心理学でいう「単純接触効果(ザイオンス効果)」を最大限に利用しましょう。
4-1. リビングやキッチンには「ゴールデンタイム」がある
言葉を交わしたことのない日本人に、平日の朝の忙しい時間に話しかけるのはあまりおすすめしません。 フリーランスのような職種の人であれば時間に余裕がありますが、多くの日本人は労働者であり、平日の朝は時間に追われています。
狙い目は「夕食時(19:00〜21:00)」と「食後のリラックスタイム(21:00〜23:00)」です。
この時間に、とにかくリビングやキッチンに「滞在する」ことが重要です。
ただし、注意点が一つあります。
【重要】イヤホンをしてスマホを見ながら座っていないこと。
イヤホンをしてスマホを見ている人は、「話しかけるなオーラ」が出ています。これでは誰も近寄れません。
本を読む、日本語の勉強をする、あるいは単にぼーっとお茶を飲む。これだけで「話しかけてもOK」の姿勢が伝わります。
個人的に、キッチンで自炊中に友達を作るのもおすすめです。
多くの日本のシェアハウスでは大型ユースホステルのように、1つの大型キッチンをみんなでシェアして使用する場合がおおいです。物理的な距離も近いので、キッチンは日本のシェアハウスの中で見知らぬ日本人に非常に話しかけやすい場所の中の一つとなっています。
4-2. 喫煙所(Smoking Area)という聖域
もしあなたが喫煙者(スモーカー)なら、おめでとうございます。あなたは「最強のパスポート」を持っています。
日本の社会において、喫煙所は独特のコミュニティ機能を持っています。
リビングでは話しにくい本音も、狭い喫煙所という密室では不思議と話せるものです。これを日本では「タバコミュニケーション(Tabacco-mmunication)」と呼びます。
最近は日本でも喫煙者は肩身が狭い思いをしているので、喫煙者同士は奇妙な一体感があり、同じ物件内の喫煙者同士であればすぐに仲良くなれます。
「ライター貸して(Do you have a light?)」
「今日寒いね(It’s cold today)」
たったこれだけで、リビングで数時間過ごすよりも深い絆が生まれることが多々あります。もしあなたが喫煙者なのであれば、非喫煙者には立ち入れないこの聖域を、フル活用してください。
一点だけ注意してほしいのは、日本で主流なのはVAPEによく似た「電子タバコ」ということです。
電子タバコは好きだけど、紙巻きたばこは服に匂いがつくから嫌だという人も多いので、そこの気遣いは忘れないようにしましょう。
第5章:心理的バリアを破壊する「きっかけ作り」の技術
ここからは、より具体的な「会話の始め方」について解説します。
欧米文化圏の方が最も戸惑うのがここです。
欧米:「Hey, how are you?」 → 会話開始
日本:「(目が合う)…(会釈)…(立ち去る)」
日本人はなぜ目を合わせないのか?なぜ挨拶以上の会話が続かないのか?
彼らは、「会話をするための正当な理由(Justification)」がないと、自分から他人の領域に踏み込んではいけないと思っているのです。
5-1. 「困ったふり」という最強の武器
日本人は「理由」があれば喋ります。そして、日本人が最も無視できない「理由」、それは「困っている人を助けること」です。
あなたは外国人です。日本では「弱者(助けられるべき存在)」のポジションを最大限に利用してください。
たとえ知っていても、分かっていても、あえて「知らないふり」「困ったふり」をするのです。
5-2. ターゲット別「助けてください」フレーズ集
【ランドリー・洗濯機】
日本の洗濯機はボタンが多くて複雑です。
「すみません、これの使い方がよく分からなくて…『ドライ』って何ですか?
(Excuse me, I’m not sure how to use this… What does ‘Dry’ mean?)」
【キッチン・ゴミ箱】
日本のゴミ分別は世界一複雑と言われています。
「プラスチックはどのゴミ箱ですか?燃えるゴミですか?
(Excuse me, which bin is for plastic? Is it burnable?)」
【漢字・日本語】
食品のパッケージや郵便物を見せて。
「この漢字、読み方が分からないんですけど…
(Excuse me, I don’t know how to read this Kanji…)」
これらを聞かれて、無視する日本人はまずいません。
そして重要なのは、一度こうして「助けた・助けられた」関係になると、日本人の脳内であなたは「知らない外国人」から「この前助けてあげた〇〇さん」にランクアップします。
この「一度喋ったことがある」という実績(フラグ)を立てることこそが、日本人の友達作りの最初にして最大の難関なのです。
入居初日の最強メソッド「Wi-Fiパスワード」
前章の「困ったふり」の中でも、入居したその日、最初の1時間以内に使える必殺技があります。
それは「Wi-Fiのパスワードを聞くこと」です。
あなたは今日入居しました。荷解きを終えて、リビングに行きます。
そこには数人の日本人がテレビを見ています。緊張の一瞬です。
ここで、スマホを片手に持ち、困った顔で近づいてください。
あなた:
「すみません、Wi-Fiのパスワードを知っていますか?繋がらなくて困っていて…
(Excuse me, do you know the Wi-Fi password? I can’t connect…)」
なぜこれが最強なのか?
- 回答率100%: もうすでに居住している人で、Wi-Fiのパスワードが記載されている場所を知らない住人はいません。確実に会話が成立します。
- 物理的距離の接近: パスワードを入力してもらう、あるいはルーターの裏を見るために、自然と身体的な距離が近づきます。
- 自然な自己紹介への移行:
「あ、繋がりました!ありがとうございます!助かりました。
私は〇〇です。今日入居しました。よろしくお願いします。
(Oh, it connected! Thank you so much! I’m XX, I moved in today.)」
これで完璧なスタートダッシュが切れます。
もし壁にパスワードが大きく貼ってあったとしても、それは見なかったことにして、あえて人間に聞いてください。目的はWi-Fiに繋ぐことではなく、「人と繋がること」なのですから。
第7章:関係を深めるための「言葉」の交換
きっかけを作って挨拶ができるようになったら、次は関係を深めるフェーズです。
ここでも戦略が必要です。
言葉の交換(Language Exchange)の提案
ある程度仲良くなったら、こう提案してみましょう。
「日本語をもっと上手になりたいから、時々私の日本語を直してくれない?その代わり、いつでも英語(または母国語)を教えるよ!」
国際交流系のシェアハウスに住む日本人は、英語を学びたい人が多いです。これは彼らにとってもメリットのある提案(Win-Win)です。
リビングで週に1回、30分だけお互いの言語で話す時間を作る。これがルーチンになれば、それはもう立派な「親友」への道のりです。
まとめ:焦らず戦略的に「居場所」を作ろう
長くなりましたが、シェアハウスで日本人の友達を作るための要点は以下の通りです。
- 物件選びが9割: 完全に日本人のみの物件ではなく、交流目的の日本人が集まる「外国人比率30〜50%」の物件を選ぶ。
- コネクション利用: 友人の紹介や、同国人の先輩住人を経由して日本人の輪に入る。
- 接触頻度: 夕方のリビングや喫煙所に「滞在」し、話しかけられやすい雰囲気を作る(スマホを見ない)。
- きっかけ作り: 日本人の「会話の理由」を作るために、「Wi-Fi」や「設備」の使い方を聞く(困ったふりをする)。
日本人は、一度仲良くなれば、とても誠実で長く付き合える友人になります。
最初の「冷たく見える壁」は、単なるシャイさと文化的な遠慮にすぎません。
あなたが少しの勇気と、この記事の「戦略」を持ってその壁をノックすれば、扉は必ず開きます。
あなたの日本でのシェアハウス生活が、素晴らしい出会いで満たされることを心から応援しています!
まずは今日、リビングで誰かに「Wi-Fiのパスワード」を聞くことから始めてみませんか?
