日本語力ゼロでもシェアハウス生活は可能か?プロが教える「話せるようになる」ための戦略的物件選び
日本での新しい生活を夢見るあなたにとって、最大の不安要素は「言語」ではないでしょうか。「日本語が全く話せない状態で、シェアハウスというコミュニティに飛び込んで孤立しないだろうか?」「生活ルールを理解できずにトラブルにならないだろうか?」
そんな心配をしているあなたに、日本全国のシェアハウス事情を熟知したプロの視点から、忖度なしのリアルな回答をお届けします。結論から申し上げます。日本語力ゼロでも、シェアハウス生活は100%可能です。
しかし、単に「住める」ということと、あなたが望む「日本での充実した生活」や「語学の上達」は全く別物です。今回は、多くのエージェントが語りたがらないシェアハウスの言語環境の裏側を徹底解説します。
結論:90%の外国人は挨拶程度しか話せない
まず、あなたを安心させる情報をお伝えしましょう。日本でのシェアハウス6件を渡り歩いた私の経験でいうと、日本の国際交流型シェアハウスに入居してくる外国人の約90%は、入居時点で「こんにちは」「ありがとう」「おいしい」程度の、いわゆるサバイバル・ジャパニーズしか話せません。
「自分だけが話せないのではないか」という不安は、全くの杞憂です。シェアハウスのラウンジを見渡してみてください。そこには、文法もめちゃくちゃな日本語と、勢いのある英語、そしてスマートフォンの翻訳画面が飛び交っています。それが日本のシェアハウスの「普通」の光景なのです。
なぜ、日本語ゼロでも生活が破綻しないのか。それには以下の3つの理由があります。
- 管理会社のプロ化: 現在、外国人を積極的に受け入れている管理会社のスタッフは、ほぼ全員が英語対応可能です。契約書の多言語化はもちろん、入居後の設備トラブルやゴミ出しのルール説明まで、英語で完結する体制が整っています。
- 日本人の入居動機: シェアハウスに住む日本人の多くは、「英語を話したい」「外国人の友達が欲しい」という動機で入居しています。彼らにとって、あなたが日本語を話せないことは欠点ではなく、むしろ彼らが英語を練習する絶好のチャンス(!)なのです。
- デジタルツールの進化: 現代にはDeepLやGoogle翻訳があります。生活上の細かいルールや深い議論も、スマホ一台あれば解決できてしまいます。
つまり、生活のインフラとして日本語はもはや必須ではありません。しかし、もしあなたが「日本にいる間に少しでも日本語を向上させたい」と考えているなら、ここからの話が重要になります。物件の選び方を一歩間違えると、あなたは1年後も英語しか話せないまま帰国することになるからです。
日本語を向上させたいなら「入居者の属性」を考える
「国際交流シェアハウス」と銘打たれた物件なら、どこでも日本語が学べるというのは幻想です。物件によって、そのシェアハウス「共通言語」は明確に決まっています。それは入居者の国籍比率、もっと言えば彼らの「キャリアパス」によって構造的に決定されるのです。
欧米系入居者が多い物件の罠:共通言語は「英語」
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、そしてヨーロッパ諸国からの入居者が過半数を占める物件。一見オシャレでキラキラした環境ですが、日本語習得という観点では良い選択肢とは言えません。理由は彼らの属性にあります。
- 就労環境の特殊性: 彼らの多くは、外資系企業の駐在員、エンジニア、あるいはリモートワーカーです。外資系企業の日本支部の彼らが働いている部門の公用語の多くは英語であり、日本人の同僚とも英語で会話します。日本語を習得しなくても高給が得られる環境にいるのです。
- コミュニティの力学: 欧米系が多い環境では、たとえ日本人が混ざっていても、会話の主導権は英語ネイティブが握ります。日本人の入居者も彼らの英語に合わせようとするため、英語を喋りたい人にとっては、24時間英語漬けの環境が完成します。
「日本にいるのに、1日1回も日本語を発さなかった」という欧米系居住者の嘆きは、このように「日本語を喋る必要性が全く無い環境にいる」からです。
欧米人多めのシェアハウスが向いている人:
・日本語学習に興味がない人
・英語でコミュニケーションしたい人
欧米人多めのシェアハウスが向いていない人:
・日本語を学習したい人
・せっかく異国の地で暮らすのだから、様々な文化圏の人と触れ合いたい人
アジア系入居者が多い物件の真価:共通言語は「日本語」
一方で、中国、韓国、台湾、ベトナム、ネパールといったアジア圏の入居者が多い物件。こここそが、最強の日本語トレーニングセンターになります。
私の経験から言っても、シェアハウスに住んでいるアジア系の友人たちはみな住んでいる間に日本語がかなり上達していきました。
これは彼らが置かれている「日本社会での立ち位置」が理由です。
- ローカル企業へのコミット: 彼らの多くは、日本の一般企業(日系企業)に就職しているか、それを目指して専門学校や大学に通っています。彼らにとって日本語は「趣味」ではなく、雇用や給料、ビザに直結する「武器」であり、日本語を習得する必要がない人とは必死さが違います。
- 共通言語としての日本語: 例えば、韓国人とベトナム人が会話をする際、互いの母国語は通じません。英語が得意でない場合、彼らがコミュニケーションを取るための唯一のブリッジ言語は、今まさに必死に学んでいる「日本語」になります。
結果として、アジア系が多いシェアハウスのラウンジでは、たどたどしくも熱意のある日本語が一日中飛び交います。ここに身を置くことで、あなたの日本語は強制的に引き上げられます。人種差別ではなく、これがシェアハウス業界の「構造的リアル」なのです。
アジア人多めのシェアハウスが向いている人:
・日本語の学習をしたい人
・英語が全く喋れず、現在のところ学習する必要もない人
アジア人多めのシェアハウスが向いていない人:
・日本語の学習に全く興味がない人
・英語でのコミュニケーションをしたり、英語の学習をしたい人
「日本語ベース」の物件で輝くための最低限の準備
アジア系が多い日本語ベースの物件を選ぶ決心がついたら、次にすべきことは「入居前の日本語の準備学習」です。ここでもアドバイスをさせてもらうなら、完璧主義は捨ててください。
日本語の読み書き(ひらがな、カタカナ、漢字)の練習は、一切不要です。
学校教育の弊害で、多くの人が「まず文字を覚える」ことから始めようとしますが、シェアハウスというコミュニティにおいては、それは時間の無駄です。シェアハウスは「勉強の場」ではなく「コミュニケーションの場」だからです。
日本語はひらがなといったアルファベットに加え、漢字も多いので、読み書きをしようとすると学習コストが高すぎて大部分は挫折します。
必要なのは「喋り」だけ
アジア系の入居者が多い物件に入居するのであれば、「最低限の日常会話」だけを口頭でマスターしてきてください。
これだけで十分です。文字が読めなくても、相手の目を見てこれらのフレーズを投げかけることができれば、あなたはすぐにコミュニティの一員として認められます。アジア系の入居者たちは、あなたの文法間違いを笑ったりしません。なぜなら、彼らもまた、同じように日本語相手に格闘している仲間だからです。文字の練習に100時間費やすなら、その時間をYouTubeでのリスニングと発声練習に充ててください。
まとめ:あなたの「選択」が環境を味方にする
最後にもう一度繰り返します。日本語力ゼロでも、あなたは日本のシェアハウスに受け入れられます。90%の先人たちがそうであったように。
しかし、もしあなたが「言葉」という鍵を手に入れて、日本での生活をもっと深く、もっと自由に楽しみたいのであれば、以下を忘れないでください。
- 共通言語が日本語になりやすい「アジア系入居者」の多い物件を選ぶこと。
- 読み書きの勉強は捨てて、入居までに「最低限の喋り」だけを身につけておくこと。
文字が読めなくても、文法が完璧でなくても大丈夫。ラウンジで「お疲れ様!」と笑い合える関係こそが、あなたの日本生活を支える最高の財産になります。
なお、「だったら、日本人だけが住んでいるシェアハウスが一番良いんじゃないの?」という疑問を持った方は以下の記事をチェックしてみてください。
ここで「アジア人の多い国際交流シェアハウス」をおすすめした理由がわかるとおもいます。


